時代を超え、国や地域を超え、私たちに迫り、生々しい手触りを遺す映画がある。
時にその衝撃から人生までもを変えてしまう映画がある。
高い芸術性を孕み、決して古びず、今なお輝きを増す珠玉の作品たち。
「the アートシアター」では、そんな特別な映画作品を劇場が選び、上映いたします。
Vol.2 ヴィターリー・カネフスキー監督
『動くな、死ね、甦れ!』
10月7日(土) 渋谷・ユーロスペースから、はじまる。
横浜シネマリン、シネマテークたかさき、深谷シネマ、名古屋シネマテーク、松本CINEMAセレクト、シネ・ヌーヴォ、京都みなみ会館、大分シネマ5、熊本Denkikan 他全国のミニシアターで順次上映予定
主催:theアートシアター
企画協力:コミュニティシネマセンター
theアートシアター Vol.2
1990年、カンヌ国際映画祭は一つの作品によって驚きに包まれた。その作品は、54歳の新人監督ヴィターリー・カネフスキーが発表した『動くな、死ね、甦れ!』。ストリートチルドレン出身で、8年間無実の罪で投獄されていた経歴を持つ彼は、それまで全くの無名であったが、この一本で世界中から賞賛される存在となる。
物語の舞台となる旧ソ連の炭鉱町・スーチャンは、カネフスキーが少年時代を過ごした町。彼は、ストリートチルドレンのパーヴェル・ナザーロフを主演に抜擢し、どこまでも純粋で鋭敏な自身の少年時代の記憶を、鮮烈にスクリーンに甦らせた。また主人公を見守り危機から救う少女役に、現在も女優として活躍しているディナーラ・ドルカーロワを起用。純粋無垢な悪童と守護天使のような少女が織りなす“映画の奇跡”は、多くの人々の心を揺さぶり、伝説的傑作として語り継がれている。
【物語】
第二次大戦直後、雪に覆われたソビエトの極東にある炭鉱町スーチャン。収容所地帯と化したこの町では、強制労働を強いられる受刑者や捕虜、職にあぶれ無気力な者、酔っ払いが溢れ、窃盗や暴力が横行していた。そんな殺伐とした空気に満ちた町に生きる12歳の少年ワレルカ。純粋無垢だが不良ぶっている彼は、学校のトイレにイースト菌をばら撒いたり、スケート靴を盗まれた仕返しにスケート板を盗み返したりと、たびたび騒動を引き起こす。そして唯一の家族である母親への反発と相まって、悪戯をエスカレートさせていく。そんなワレルカの前に、守護天使のように現れては、危機を救ってくれる幼なじみの少女ガリーヤ。 二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、学校を退学になったワレルカが町から逃亡することで、彼らの運命はとんでもない方向へ転じていくのだった…。
1990年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞
1990年フランダース映画祭グランプリ
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ
配給:ノーム
1989年/ソビエト/モノクロ/105分
地域 | 劇場名 | 電話 | 公開日 |
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東京 | ユーロスペース | 03-3461-0211 | 上映終了 |
神奈川 | 横浜シネマリン | 045-341-3180 | 上映終了 |
埼玉 | 深谷シネマ | 048-551-4592 | 上映終了 |
群馬 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | 上映終了 |
長野 | 松本CINEMAセレクト | 0263-98-4928 | 上映終了 |
地域 | 劇場名 | 電話 | 公開日 |
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愛知 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | 上映終了 |
地域 | 劇場名 | 電話 | 公開日 |
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大阪 | シネ・ヌーヴォ | 06-6582-1416 | 上映終了 |
京都 | 京都みなみ会館 | 075-661-3993 | 上映終了 |
神戸 | 元町映画館 | 078-366-2636 | 『ミツバチのささやき』『エル・スール』近日公開 |
地域 | 劇場名 | 電話 | 公開日 |
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広島 | シネマ尾道 | 0848-24-8222 | 上映終了 |
theアートシアター Vol.3 現在鋭意選定中!
theアートシアター Vol.1
一人の少女が体験する、現実と空想の世界。ビクトル・エリセ監督の長編第1作。
スペイン・フランコ独裁政権下で撮られた本作。少女役のアナ・トレントの天才的な演技と繊細な描写による映画史上に傑出した作品。
【物語】
スペインのある小さな村に『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってくる。6歳の少女アナはスクリーン上の怪物を精霊と思い、姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞いたアナは、ある日、その家を訪れる。そこでひとりの謎めいた負傷兵と出会い……。
1973年サン・セバスチャン国際映画祭 金の貝殻賞(グランプリ)
1973年シカゴ国際映画祭シルヴァー・ヒューゴー特別賞
1974年スペイン映画作家協会賞 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞(フェルナンド・フェルナン=ゴメス)、最優秀撮影賞、最優秀音楽賞
1974年トリノ映画祭最優秀作品賞
監督:ビクトル・エリセ
製作:エリアス・ケレヘタ
原案:ビクトル・エリセ
脚本:アンヘル・フェルナンデス=サントス、ビクトル・エリセ
撮影:ルイス・クアドラド
音楽:ルイス・デ・パブロ
出演:アナ・トレント、イサベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン=ゴメス
配給:アイ・ヴィー・シー
日本語字幕:吉岡芳子
99分 1973年 スペイン
©2005 Video Mercury Films S.A.
内戦、家族、<南>から<北>へ ビクトル・エリセ監督の長編第2作。
『ミツバチのささやき』から10年。カンヌ国際映画祭に正式出品された。イタリアの名優、オメロ・アントヌッティの名演。
【物語】
1957年、秋。ある朝、少女エストレリャは目覚めると、枕の下に父アグスティンの振り子を見つける。エストレリャは父が死んだことを悟る。彼女は回想する。内戦の記憶に囚われたスペイン、<南>の町から<北>の地へと引っ越す家族。8歳のエストレリャが過ごした“かもめの家”での暮らしが語られる…。
1983年シカゴ国際映画祭 ゴールド・ヒューゴー賞(グランプリ)
1983年スペイン映画作家協会賞 最優秀監督賞
監督:ビクトル・エリセ
製作:エリアス・ケレヘタ
原作:アデライダ・ガルシア=モラレス
脚本:ビクトル・エリセ
撮影:ホセ=ルイス・アルカイネ
音楽:グラナドス(スペイン舞曲集)、モーリス・ラヴェル(弦楽四重奏曲ヘ長調)、シューベルト(弦楽五重奏曲ハ長調)、パソ・ドブレ「エン・エル・ムンド」、アルゼンチン・タンゴ「ラ・クンパルシータ」他
出演:オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン、ロラ・カルドナ、ラファエラ・アパリシオ、オーロール・クレマン、マリ
ア・カロ、フランシスコ・メリノ
日本語字幕:吉岡芳子 監修:野谷文昭
95分 1983年 スペイン
©2005 Video Mercury Films S.A.
コメント
「<ドキュメントとフィクション>の境界、 それに対するカネフスキーの眼差しとアプローチは、
観るものに確かな刺激と感動をもたらす。」
―― 是枝裕和(映画監督)
「『動くな、死ね、甦れ!』は、かけねなしの傑作でありこれを見逃すことは生涯の損失につながるだろう」
―― 蓮實重彦(映画評論家)