いつまでも心に刻まれている映画がある。
ふとした時に、あの名シーンがよみがえる。
あの瞳が忘れられない。
それぞれの映画体験と共に、映画は育ち、心の中にいつまでも存在する。
そんな不滅の映画に、もう一度スクリーンで出逢おう。
Vol.4 アッバス・キアロスタミ監督
『クローズ・アップ』
主催:theアートシアター
企画協力:コミュニティシネマセンター
theアートシアター Vol.4
【『クローズ・アップ』公開延期のお知らせ】
詳しくはこちらをご覧ください
https://tofoofilms.co.jp/file/closeup0826.pdf
嘘からはじまる、本当のはなし
『友だちのうちはどこ?』やカンヌでパルムドールを受賞した『桜桃の味』などで知られる巨匠アッバス・キアロスタミ。その美しく独創的なフィルモグラフィにおいてもひときわ異彩を放ち、いまなお数多くのシネアストを魔法のように魅了し続けている本作『クローズ・アップ』。 ある詐欺事件を知ったキアロスタミ監督はすぐに裁判所を訪れ、その公判の模様をカメラに収めることに成功する。さらにキアロスタミは、事件に至る過程を当事者たち自身に演じさせて再現することで、事の次第を明らかにしていく。ドキュメンタリーと再現、虚構と現実を精巧に織り上げていった果てに、ついに映画は詐欺容疑で逮捕された青年の心の奥に秘められた真実を探り当てる。めくるめくサスペンスと不意打ちをくらわされたような衝撃的な感動。時代を超えても色褪せない稀代の傑作が、HDリマスター版でスクリーンに甦る!
【物語】
バスで隣に座った婦人から声をかけられた映画青年サブジアン。持っていた映画の本について尋ねられ、思わず自分は本の著者である映画監督のモフセン・マフマルバフだと名乗ってしまう。すんなりとその嘘を信じた婦人は、家族全員が映画好きだと言って彼を家へ招き入れる。嘘に嘘を重ね、一家を架空の映画製作に巻き込んだサブジアンは、ついには詐欺罪で逮捕されてしまう。そして迎えた判決の時、サブジアンが明かす真実とは…。
自分が見たものを信じられずに何度も見てしまう。イラン社会をすり抜けつつ恩寵のような偶然を
すべてものにしてしまう、もはや悪魔的なまでの狡猾さと執念。なぜこの世にこんな映画が存在す
るのかまったくわからないが、目の前にある以上は信じざるを得ない。キアロスタミによる映画の
存在証明。
――濱口竜介(映画監督)
奇跡。そうたやすく使うべきではないこの言葉を呟かざるをえない希少な機会の一つは『クロー
ズ・アップ』を前にしたときである。人も空き缶も虚構も現実も何もかもがカメラの前で等価にな
る美しさと残酷さ。必見。
――深田晃司(映画監督)
監督・脚本・編集 アッバス・キアロスタミ
撮影:アリ=レザ・ザリンダスト
出演:ホセイン・サブジアン、ハッサン・ファラーズマンド、アボルファズル・アーハンハー、メフルダード・アーハンハー、モフセン・マフマルバフ
配給:ノーム/東風
98分 1990年 イラン
©1990 Farabi Cinema
地域 | 劇場名 | 電話 | 公開日 |
---|---|---|---|
東京 | ユーロスペース | 03-3461-0211 | 調整中 |
地域 | 劇場名 | 電話 | 公開日 |
---|---|---|---|
愛知 | 名古屋シネマテーク | 052-733-3959 | 調整中 |
theアートシアター Vol.5 現在鋭意選定中!
theアートシアター Vol.1
一人の少女が体験する、現実と空想の世界。ビクトル・エリセ監督の長編第1作。
スペイン・フランコ独裁政権下で撮られた本作。少女役のアナ・トレントの天才的な演技と繊細な描写による映画史上に傑出した作品。
【物語】
スペインのある小さな村に『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってくる。6歳の少女アナはスクリーン上の怪物を精霊と思い、姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞いたアナは、ある日、その家を訪れる。そこでひとりの謎めいた負傷兵と出会い……。
1973年サン・セバスチャン国際映画祭 金の貝殻賞(グランプリ)
1973年シカゴ国際映画祭シルヴァー・ヒューゴー特別賞
1974年スペイン映画作家協会賞 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優賞(フェルナンド・フェルナン=ゴメス)、最優秀撮影賞、最優秀音楽賞
1974年トリノ映画祭最優秀作品賞
監督:ビクトル・エリセ
製作:エリアス・ケレヘタ
原案:ビクトル・エリセ
脚本:アンヘル・フェルナンデス=サントス、ビクトル・エリセ
撮影:ルイス・クアドラド
音楽:ルイス・デ・パブロ
出演:アナ・トレント、イサベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン=ゴメス
配給:アイ・ヴィー・シー
日本語字幕:吉岡芳子
99分 1973年 スペイン
©2005 Video Mercury Films S.A.
内戦、家族、<南>から<北>へ ビクトル・エリセ監督の長編第2作。
『ミツバチのささやき』から10年。カンヌ国際映画祭に正式出品された。イタリアの名優、オメロ・アントヌッティの名演。
【物語】
1957年、秋。ある朝、少女エストレリャは目覚めると、枕の下に父アグスティンの振り子を見つける。エストレリャは父が死んだことを悟る。彼女は回想する。内戦の記憶に囚われたスペイン、<南>の町から<北>の地へと引っ越す家族。8歳のエストレリャが過ごした“かもめの家”での暮らしが語られる…。
1983年シカゴ国際映画祭 ゴールド・ヒューゴー賞(グランプリ)
1983年スペイン映画作家協会賞 最優秀監督賞
監督:ビクトル・エリセ
製作:エリアス・ケレヘタ
原作:アデライダ・ガルシア=モラレス
脚本:ビクトル・エリセ
撮影:ホセ=ルイス・アルカイネ
音楽:グラナドス(スペイン舞曲集)、モーリス・ラヴェル(弦楽四重奏曲ヘ長調)、シューベルト(弦楽五重奏曲ハ長調)、パソ・ドブレ「エン・エル・ムンド」、アルゼンチン・タンゴ「ラ・クンパルシータ」他
出演:オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン、ロラ・カルドナ、ラファエラ・アパリシオ、オーロール・クレマン、マリ
ア・カロ、フランシスコ・メリノ
日本語字幕:吉岡芳子 監修:野谷文昭
95分 1983年 スペイン
©2005 Video Mercury Films S.A.
theアートシアター Vol.2
1990年、カンヌ国際映画祭は一つの作品によって驚きに包まれた。その作品は、54歳の新人監督ヴィターリー・カネフスキーが発表した『動くな、死ね、甦れ!』。ストリートチルドレン出身で、8年間無実の罪で投獄されていた経歴を持つ彼は、それまで全くの無名であったが、この一本で世界中から賞賛される存在となる。
物語の舞台となる旧ソ連の炭鉱町・スーチャンは、カネフスキーが少年時代を過ごした町。彼は、ストリートチルドレンのパーヴェル・ナザーロフを主演に抜擢し、どこまでも純粋で鋭敏な自身の少年時代の記憶を、鮮烈にスクリーンに甦らせた。また主人公を見守り危機から救う少女役に、現在も女優として活躍しているディナーラ・ドルカーロワを起用。純粋無垢な悪童と守護天使のような少女が織りなす“映画の奇跡”は、多くの人々の心を揺さぶり、伝説的傑作として語り継がれている。
【物語】
第二次大戦直後、雪に覆われたソビエトの極東にある炭鉱町スーチャン。収容所地帯と化したこの町では、強制労働を強いられる受刑者や捕虜、職にあぶれ無気力な者、酔っ払いが溢れ、窃盗や暴力が横行していた。そんな殺伐とした空気に満ちた町に生きる12歳の少年ワレルカ。純粋無垢だが不良ぶっている彼は、学校のトイレにイースト菌をばら撒いたり、スケート靴を盗まれた仕返しにスケート板を盗み返したりと、たびたび騒動を引き起こす。そして唯一の家族である母親への反発と相まって、悪戯をエスカレートさせていく。そんなワレルカの前に、守護天使のように現れては、危機を救ってくれる幼なじみの少女ガリーヤ。 二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、学校を退学になったワレルカが町から逃亡することで、彼らの運命はとんでもない方向へ転じていくのだった…。
1990年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞
1990年フランダース映画祭グランプリ
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ
配給:ノーム
1989年/ソビエト/モノクロ/105分
theアートシアター Vol.3
ずっと、一緒に。
主演した4歳の少女ヴィクトワール・ティヴィソルが、96年のヴェネチア映画祭で女優賞を史上最年少で受賞。監督は名匠ジャック・ドワイヨン。日本での劇場初公開は23年前の1997年。東京の公開館では、33週間のロングラン記録。異例の大ヒットとなった。
誰もが味わう、大切な人を亡くすことの哀しみ。痛ましい出来事に向きあう少女の優しく純粋な姿を通し、人間の本質的で普遍的なテーマに迫る本作は、初公開から20年以上の時が過ぎた今も決して古びることはない。映画史に輝く美しき傑作が、4Kレストアの高精細デジタルリマスター版として劇場のスクリーンに帰ってくる。
【物語】
交通事故で母親を失った4歳の少女ポネット。突然の出来事にポネットはその死を受け入れられない。叔母の家に預けられ新たな生活が始まるが、ポネットはひたすら母の帰りを信じ、祈り続ける。そんな少女に周りの大人たちは「死」を教えようとするが、ポネットはますます自分の世界に閉じこもる…。
※上映は4K修復版を元にした2K上映となります。
1996年ヴェネチア国際映画祭主演女優賞
1997年ニューヨーク批評家協会賞外国語映画賞
監督・脚本:ジャック・ドワイヨン
製作:アラン・サルド
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
音楽:フィリップ・サルド
出演:ヴィクトワール・ティヴィソル、マリー・トランティニャン、グザヴィエ・ボーヴォワ、クレール・ヌブー、デルフィーヌ・シルツ、マチアス・ビューロー・カトン、レオポルディーヌ・セール
配給:アイ・ヴィー・シー
日本語字幕:寺尾次郎
97分 1996年 フランス
©1996 StudioCanal – Les Films Alain Sarde – Rhône Alpes Cinéma”